貿易黒字・貿易赤字
貿易の収支が黒字か赤字かということで、ニュースを騒がせることがよくありますよね。
昨日は相場も様子見ムードの日だったので、近くのカフェにブラッとブランチに行きました。
コーヒーも普通で、食べ物も普通で、値段も普通のお店なんですが、いつもジャズが流れているので、それだけの理由でわたしはこのお店をよく使います。
外はあいにくの雨で、窓に着いた雨粒や、雨どいを伝うしずく、それらがキラキラと踊る姿を見るのも悪くないですよね。
隣のボックス席には若い男子が二人いました。二人ともスマホをつつきながら、目を合わせることもなく会話をしています。
世も末だな、と思っていると、ふいに二人の会話が耳に飛び込んできました。
「まーたトランプ(呼び捨て)が吠えてたよね」
「え、なんて?」
「なんかさー、貿易が不公平だから鉄とかの関税を上げるんだってさ」
「へえ。それってどうなるの?」
「よく分かんね。でも赤字はダメでしょ。もし日本の輸出にも高い関税をかけられたらさ、経済ボロボロだよ。もうこれ以上の不景気はいやだよ」
「確かに。日本って資源がないんだからさ、もっと国内の農業とかに力入れればいいのにね」
「お前がやれよ」
「それムリ」
二人の会話の内容に、正直、びっくりしましたよ。日本の未来は明るいんだろうな、と少しほっとしたような、暖かい気持ちになれました。
で、今日は貿易収支について少し触れてみたいと思います。
貿易収支って、単純に黒字であればよしとはいかないんですよね。
輸出量-輸入量=貿易収支
日本は輸出産業の企業が強いため、貿易黒字であれば好景気と一般的には言われています。
実際に、リーマンショックや東日本大震災のような経済に大打撃を与えるようなことが起こると、日本の貿易収支は赤字になりました。
でもこれは、日本経済は浮き沈みはあっても、ある程度基盤がしっかりした国だと言えます。基盤がしっかりしているというのは、内需(国内消費)がしっかりしているという意味です。
日本の経済は輸出に依存しているという声を聞くことがありますが、実はそうではなく、日本は内需依存型の国なんですよ。
確かに輸出は強いです。しかし輸出が少しくらい不調でも、日本経済が崩壊するなんてことはまずありません。国内需要だけで賄えるんです。だからデフレが怖いんですね。
人々が本当に物を買わなくなったら、日本の経済は崩壊してしまうかもしれません。
話を戻して、なぜアメリカは貿易赤字なんでしょうか?
それは国内の景気が良いからです。景気が良いと、人は買い物をします。色んなものを買います。たくさん買います。
国内の生産だけで賄えない分は、外国から輸入しますよね。人々がどんどん物を買うので、輸入業者はどんどん海外から品物を輸入します。だから貿易赤字なんです。
またこれとは逆に、不況型貿易黒字というのもあるんですね。
輸出入ともに減るんですが、輸出の減り幅よりも輸入の減り幅の方が大きく、結果的に黒字になるというものです。
国内の需要が冷え込み、人々が物を買わなくなったために起きる現象です。
今のところ、アメリカは好景気。にもかかわらず、トランプ大統領が貿易不均衡を唱え続ける裏には、経済的な要因よりも政治的意図を感じてしまうのはわたしだけでしょうか。