貿易不均衡の裏側
週末はよくドライブに行きます。晴れた日の海沿いの道なんて最高ですよね。でも街の中を走るのも案外、好きだったりします。
左右に押し迫るビル群、それらの窓にキラキラと反射する太陽の光、横断歩道を行き交うたくさんの人々。なんか躍動感があって、パワーをもらえる気がするんですよね。時間がある時は、あてもなく街の中をドライブすることは多いです。
わたしはコンパクトカーに乗っています。理由は、あまり車に興味がないこと(車好きのかた、ゴメンナサイ)と、なにより街中でも気軽に走れるからなんです。
特別に運転がヘタというわけではないと思うんですが、大きな車だとゴチャゴチャした場所ではどうしても切り返しが難しくなるし、燃費もあまりよくないですしね。
前回に続いてトランプ大統領の話題になりますが、鉄鋼以外の面でも対日貿易の不満を表明しました。
アメリカが貿易赤字なのは国内需要が高まっているから、つまり景気が良いからです。
ここからは飽くまでもわたくしの私見ですが、日本でアメリカの車(アメ車)が売れないのは、関税の問題ではなく、機能の問題ではないでしょうか。
日本とアメリカの決定的な違いは、国土の大きさです。それはそのまま道幅にも表れています。アメリカの国土面積に応じた車が、日本の道路事情には合致しません。
最近ではBOXカーのように大きな車も流行しています。しかし燃費面で大きな違いがありますよね。アメリカは自国で資源を賄える国です。対して日本はほとんど全ての石油を輸入に頼る国です。
いかに燃費の良い車を開発するかという必要性に迫られた国とそうでない国の車はやはり違うんです。
つまり日本でアメ車が売れないのは、単純に需要の問題だと、わたしは思います。
ヨーロッパでは日本と同じように狭い市街地という条件があるため、ルノーやフィアット、プジョー、フォルクスワーゲンのようにコンパクトな車を生産する会社も多く、アメ車よりも人気があります。
ここまでは日本国内でアメ車が売れない理由です。あとは、アメリカ国内で日本車が売れる理由です。
ではなんで、アメリカ国内では日本車が売れるのか…
トランプ大統領は貿易不均衡と言いますが、アメ車の関税は0%なんです。それに引き換え、日本車の関税は2.5%。これは逆不均衡ですよね。
つまりアメリカの人は、通常の価値よりも2.5%上乗せされた価値で日本車を買うことになります。にもかかわらず、アメリカ人は日本車を買います。
これには色んな理由があると思いますが、恐らく壊れにくいこと、そして壊れてもすぐに対応してくれること。これが大きな要因でしょう。
日本の『お・も・て・な・し』は日本国内ではあって当然ですが、世界ではそうではありません。『サービスは有料』というのが一般的な考えなんです。
すぐに対応してくれ、親切丁寧、しかもそのサービスがタダ。アメリカ人からすると、それだけで価値があるんですね。
不均衡なのは貿易ではなく、需要なんです。
でも、そんなことトランプ大統領が知らないはずはありません。単純に関税を引き上げたところで、日本車が高くなり、アメリカ国内の不満が高まるだけで、アメ車が日本で売れることにはなりません。
じゃあ、なんでトランプ大統領は貿易不均衡、貿易不均衡と騒ぐのでしょうか。
思い出してください。トランプ大統領は最初から言っていましたよね。国内の雇用を増やす、と。
ニュースにはしっぽがあるとよく言いますよね。
トランプ大統領は日本人の人件費で、日本に法人税を収める工場ではなく、アメリカ人を雇用し、アメリカに法人税を納める工場を求めているんです。
アメリカに工場を作れ、ってことですね。
別の話題(弱み)に振っておいて、自分の望む結果を得る。やはりトランプ氏はやり手のビジネスマンです。